眠れない夜にアルコールを選ぶと逆効果になる理由と睡眠の質を改善するための正しい方法

薬剤師によるヘルスケア解説





眠れないときにアルコールを飲む習慣とは

眠れない夜、グラスに注いだお酒が心を落ち着かせ、すぐに眠れる気がするという人は多いです。

いわゆる「寝酒」という習慣は長年親しまれてきました。

しかし、その効果は一時的なものであり、実際には睡眠の質を大きく損なう要因となります。

アルコールがもたらす一時的な眠気の仕組み

アルコールを飲むと脳の神経活動が抑えられ、リラックス効果が得られます。

そのため、寝つきが良くなり、すぐに眠れるという実感を得やすいです。

ところがこれは一時的な作用にすぎず、深い眠りを得られるわけではありません。

レム睡眠の減少と睡眠の分断

アルコールは睡眠構造を変えてしまいます。

特にレム睡眠が減り、夜中に何度も目が覚めやすくなります。

さらに、アルコール代謝で生じる物質が脳を刺激し、睡眠の後半に覚醒作用を引き起こすため、朝までぐっすり眠ることは難しくなります。

慢性的な飲酒が引き起こす不眠の悪循環

寝酒を習慣にすると、次第に効果が薄れ、より多くの量を飲まないと眠れなくなります。

その結果、アルコール依存症やアルコール性不眠症に陥るリスクが高まります。

眠れないからお酒を飲む、しかしさらに眠れなくなるという悪循環に注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群や健康リスクの悪化

アルコールは筋肉を緩める作用があり、睡眠時無呼吸症候群を悪化させることが知られています。

また、心臓や脳への負担を増やし、高血圧や脳卒中といった深刻な健康問題を招く可能性もあります。

アルコールに頼らない眠りの工夫

良質な睡眠を得るためには、アルコール以外の方法を取り入れることが大切です。

  • 就寝の4時間前までに飲酒を終える

  • 毎日同じ時間に起きて朝日を浴びる

  • 適度な運動を習慣にする

  • 寝る前はスマホやPCを避ける

  • 湯船に浸かる、ストレッチをするなどリラックス法を取り入れる

    睡眠改善チェックリスト

    眠れないときにアルコールへ頼らず、自然に眠れる体質をつくるための行動チェックリストです。

  • 日々の習慣に取り入れてみてください。

    日中の行動

    • 毎日同じ時間に起床する

    • 起床後すぐに朝日を浴びて体内時計をリセットする

    • 昼間に20〜30分の軽い運動を行う

    • 昼寝は15〜20分以内にとどめる

    就寝前の習慣

    • 就寝の3〜4時間前までに夕食を終える

    • カフェインや喫煙を寝る前には避ける

    • 就寝の2時間前からスマホやPCのブルーライトを控える

    • 温かいお風呂に浸かり、体温を一度上げてから自然に下げる

    寝室環境の工夫

    • 部屋の明かりは暗めに設定する

    • 室温は18〜22度程度に保つ

    • 静かで快適な寝具を選ぶ

    • 寝室は「眠るためだけの空間」にする

    心のリラックス法

    • 就寝前に軽いストレッチや深呼吸を行う

    • 読書やヒーリング音楽でリラックスする

    • ハーブティーや白湯を取り入れる

    • 「眠れなくてもいい」と気持ちを切り替える

まとめ

眠れないときにアルコールを飲むと、一時的には眠れる気がしても、結果的に睡眠の質を下げ、不眠を悪化させます。

寝酒は不眠解消の方法ではなく、むしろ不眠の原因となるものです。

持続的に健康な眠りを得るためには、生活習慣の改善や専門的なサポートを活用し、アルコールに頼らない方法を選ぶことが重要です。

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