ステロイド治療と不眠症の関係
ステロイド薬は、自己免疫疾患やアレルギー、がん治療などに欠かせない薬です。
その強力な効果の一方で、副作用として「眠れない」という不眠症状が現れることがあります。
不眠は単なる寝不足にとどまらず、日中の倦怠感や集中力の低下を招き、治療の継続にも影響するため、注意が必要です。
なぜステロイドで眠れないのか
ステロイドによる不眠にはいくつかのメカニズムがあります。
-
覚醒系神経伝達物質の活性化:ヒスタミンやノルアドレナリンなど、覚醒を促す神経物質の働きを強めます。
-
その結果、眠気が抑えられてしまいます。
-
概日リズムの乱れ:本来は朝に分泌が多いコルチゾールと似た作用を持つため、夕方以降に服用すると脳が覚醒状態になり、入眠を妨げます。
-
中枢神経への直接作用:不安や気分の高揚、不穏といった精神的な変化を引き起こし、それが不眠を悪化させます。
不眠のリスクが高まる要因
ステロイドによる不眠は、以下の条件で起こりやすいとされています。
-
高用量の投与を受けている場合
-
プレドニゾロンやデキサメタゾンを使用している場合
-
高齢者や女性、精神疾患の既往がある患者
-
ステロイド治療開始から1〜2週間以内
これらに当てはまる人は特に注意が必要です。
ステロイド性不眠症への対処法
不眠が起きた場合は、複数の方法で対処することができます。
-
服用時間の工夫:朝や昼に服用することで、夜間の不眠を軽減できます。
-
用量の調整:主治医と相談し、可能であれば投与量を減らすことも検討されます。
-
睡眠薬の併用:短期間、医師の管理下で睡眠導入剤を使用することがあります。
-
生活習慣の改善:就寝前のリラックス、適度な運動、日中の光浴びなどが効果的です。
医療従事者との連携が大切
ステロイド治療は、自己判断で中止や変更を行うと非常に危険です。
不眠の症状がある場合は必ず主治医や薬剤師に相談してください。
自分の症状を具体的に伝えることで、適切な治療方針が立てやすくなります。
まとめ
ステロイドによる「眠れない」症状は、覚醒物質の増加や体内リズムの乱れ、中枢神経への作用など、複数の要因が絡み合って生じます。
投与時間の工夫や生活習慣の改善で対処できる場合もありますが、症状が続くときは専門家と相談することが重要です。
安全に治療を続けるために、不眠を我慢せず、適切なサポートを受けましょう。
コメント